全面リフォームの費用と進め方【築20〜30年の住宅向け完全ガイド】

築20〜30年を過ぎた住宅では、水回りの老朽化・外壁の劣化・断熱性の低下など、さまざまな箇所に傷みが生じてきます。「どうせ修繕するなら、いっそ全部まとめてやり直したい」と考える方も多いでしょう。全面リフォームは費用も工期もかかりますが、計画的に進めれば住宅の価値を大きく高め、快適な暮らしを長期にわたって維持することができます。

この記事では、全面リフォームにかかる費用の目安を築年数別・工事内容別に詳しく整理し、失敗しないための進め方や業者の選び方まで徹底的に解説します。これからフルリフォームを検討している方は、ぜひ参考にしてください。

目次

全面リフォームとは?部分リフォームとの違い

全面リフォームの定義

全面リフォーム(フルリフォーム)とは、住宅の間取り・水回り・内装・設備・構造など、建物のほぼ全体を対象にリフォームすることを指します。明確な定義はありませんが、一般的には「工事費用が500万円以上」または「主要な部屋と設備のほとんどをまとめて改修する」ケースが該当します。

さらに大規模な工事として、スケルトンリフォームがあります。これは内装を全て撤去して構造体(柱・梁・基礎)だけの状態にし、間取りや配管の位置から作り直す方法です。築年数が古く劣化が著しい住宅や、大幅な間取り変更を行いたい場合に選ばれます。

部分リフォームとの違い

部分リフォームは「キッチンだけ交換」「浴室だけ改修」といった、特定の箇所に絞った工事です。費用は抑えられますが、築年数が経過した住宅の場合、工事後も他の箇所が次々と傷んでいき、結果的に部分工事を何度も繰り返すことになり割高になるケースがあります。

全面リフォームは初期投資が大きいものの、まとめて発注することで足場費用・仮設費用の節約になります。また、職人の手配を一元化できるため工期のロスも少なくなります。さらに、内装の仕上がりに統一感が出るという点もメリットです。「この先10〜20年快適に住み続けたい」という目標がある場合は、全面リフォームの方がトータルコストで優れていることも多いです。

全面リフォームの費用相場【築年数別】

築年数によって必要な工事の種類・範囲が異なるため、費用相場も大きく変わります。以下は木造戸建て住宅(延床面積100〜130㎡程度)を想定した目安です。実際の費用は建物の状態・工事内容・使用する設備グレードによって変動します。

築20〜25年の場合(目安:500〜800万円)

構造体(柱・梁)は比較的健全なことが多い一方、水回り設備・内装・断熱材の傷みが顕著になってくる時期です。キッチン・浴室・トイレ・洗面台をまとめて交換し、内装(クロス・フローリング)を全面的に一新する工事が中心となります。

断熱リフォームや耐震補強が必要な場合は追加で100〜200万円程度かかることもあります。ただし、この時期は補助金が活用しやすい工事内容が多いため、後述する補助金を組み合わせることで実質負担を大きく減らせます。

築25〜30年の場合(目安:700〜1,200万円)

外壁・屋根の大規模修繕が必要になるケースが増え、費用が膨らみやすい時期です。屋根の葺き替えで100〜250万円、外壁の張り替えで200〜400万円が別途かかることがあります。また、床下の防腐・防蟻処理や給排水管の全面更新も必要になる場合があります。

住宅によっては間取りの見直しと耐震補強を組み合わせたスケルトンリフォームが選ばれます。費用は大きいですが、完成後はほぼ新築と同水準の快適性を実現できます。

築30年超の場合(目安:1,000〜1,800万円以上)

構造体の劣化や耐震性の不足が懸念されるため、必ず事前に住宅診断(インスペクション)を受け、工事の範囲を確定させることが重要です。特に1981年以前に建てられた旧耐震基準の住宅は、耐震改修工事が必須となるケースがほとんどです。

費用が大きくなる場合は、建て替えとの費用比較も行いましょう。一般的に全面リフォームは建て替えの6〜7割程度の費用で済むとされていますが、スケルトンリフォームでは8〜9割に近づくケースもあります。工務店やリフォーム会社に建て替えとリフォームの両方の見積もりを依頼し、費用対効果で判断することをおすすめします。

工事内容別の費用内訳

全面リフォームを構成する主な工事と、それぞれの費用相場を整理します。個々の工事をバラバラに発注するより、まとめて依頼した方が割安になります。

水回り工事

水回りは劣化が進みやすく、かつリフォームすることで日常の快適性が大きく向上します。4点まとめて交換することで、足場・仮設・配管工事などを集約でき、個別に発注するよりも30〜50万円程度のコストダウンが期待できます。

  • キッチン(システムキッチン交換・配管含む):60〜200万円
  • 浴室(ユニットバス交換):60〜150万円
  • トイレ(タンクレス等交換):10〜30万円
  • 洗面台(交換・周辺内装含む):15〜50万円
  • 給排水管の全面更新:30〜80万円

内装工事

壁紙(クロス)・床材・天井は全面張り替えになります。使用する素材のグレードによって費用が大きく変わります。無垢材フローリングや珪藻土壁などこだわり素材を使用すると高くなります。

  • クロス張り替え(全室・廊下等含む):20〜60万円
  • フローリング張り替え(全室):30〜100万円
  • 天井クロス・塗装:10〜30万円
  • 建具(ドア・引き戸)交換:20〜60万円

構造・断熱・耐震工事

外から見えない部分ですが、住宅の安全性・快適性・省エネ性を左右する重要な工事です。全面リフォームのタイミングで一緒に行うことで、後から工事するより大幅なコスト削減になります。

  • 耐震補強工事:50〜200万円
  • 断熱材の充填・交換(床・壁・天井):50〜150万円
  • 窓の断熱改修(内窓設置・樹脂サッシ交換):10〜80万円
  • 外壁塗装・張り替え:80〜400万円
  • 屋根の葺き替え・重ね葺き(カバー工法):80〜250万円

全面リフォームの進め方【ステップ別解説】

計画から完成まで、一般的に4〜8ヶ月程度かかります。焦って進めると後悔するケースも多いため、余裕を持ったスケジュールで動くことが重要です。

STEP1:現状診断・優先度の整理

まず住宅診断(インスペクション)を行い、構造・設備・外装の劣化状況を専門家に確認してもらいます。費用は5〜10万円程度です。診断結果をもとに「今すぐ対応が必要な工事」「できれば一緒にやりたい工事」「後回しにできる工事」に分けて優先順位を整理します。

注意点として、インスペクションをリフォーム会社に依頼すると、そのまま見積もりに誘導されやすくなります。できれば第三者機関(一般社団法人住宅診断士協会や公認ホームインスペクターなど)に別途依頼することをおすすめします。

STEP2:予算とローンの検討

全面リフォームの費用は大きいため、自己資金だけでなく住宅リフォームローンの活用を検討しましょう。リフォームローンは無担保型の場合、上限500〜1,000万円・金利2〜4%程度が一般的です。住宅ローンの残高がある場合は借り換えと同時に行う「リフォーム一体型ローン」も選択肢の一つです。

また、補助金は着工前に申請が必要なものが多く、予算確定と並行して確認を進めてください。着工後に申請できないケースがあります。補助金によっては抽選・予算上限があるため、早めの確認が肝心です。

STEP3:リフォーム会社の選定と相見積もり

必ず複数社(3社以上)から見積もりを取ることが大原則です。全面リフォームは金額が大きいため、業者によって100〜300万円以上の差が出ることも珍しくありません。見積もり比較の際は金額だけでなく、以下のポイントも確認しましょう。

  • 工事内容の明細が細かく記載されているか(「一式」表記は要注意)
  • 担当者の提案力・コミュニケーション力
  • 施工実績・完成事例の豊富さ(同じ築年数・規模の事例があると理想的)
  • アフターサービス(保証期間・定期点検の有無)
  • リフォーム瑕疵保険への加入対応

STEP4:契約・着工・完成

契約前に工事内容・工期・支払いスケジュールを書面で必ず確認します。「着工金30%・中間金30%・完成時40%」といった分割払いが一般的です。全額を前払いするよう求める業者には注意が必要です。

着工後は仮住まいが必要になる場合がほとんどです(工期の目安:内装のみなら1〜2ヶ月、スケルトンリフォームなら3〜6ヶ月)。仮住まいの費用も予算に含めておきましょう。工事中は定期的に現場を確認し、疑問点はすぐに担当者に確認することが大切です。

使える補助金・減税制度まとめ

全面リフォームでは複数の補助金・減税制度を組み合わせて活用できます。うまく活用すれば数十〜100万円以上の実質的な費用削減になります。

2026年現在、主な補助金・制度は以下の通りです(制度は年度ごとに変更されるため、申請前に必ず公式情報を確認してください)。

  • 子育てエコホーム支援事業:省エネ性能の高いリフォームに対して最大60万円。断熱改修・高効率給湯器交換などが対象。子育て世帯・若者夫婦世帯が主な対象。
  • 先進的窓リノベ事業(後継事業):窓の断熱改修(内窓設置・樹脂サッシ交換等)に最大200万円。開口部の面積・性能区分に応じた定額補助。
  • 耐震改修補助(地方自治体):旧耐震基準(1981年以前)の住宅の耐震工事に市区町村が30〜100万円程度を補助。自治体によって金額・条件が異なる。
  • 介護保険の住宅改修給付:要支援・要介護認定を受けた方が対象。バリアフリー工事に上限20万円(自己負担1〜3割)が給付される。

減税制度としては、所得税の特別控除(耐震・バリアフリー・省エネ・同居対応リフォームが対象)と、固定資産税の減額(翌年度分の1/2〜1/3)があります。確定申告が必要なものもあるため、税理士や地域の税務署に確認することをおすすめします。

参考:住宅リフォーム支援制度検索サイト(国土交通省)

費用を抑えるポイントと注意点

まとめて発注でコストダウン

全面リフォームの最大のメリットの一つは「まとめて依頼することでコストが下がる」点です。たとえば、外壁塗装と屋根修繕を同時に行えば足場の設置費用(15〜30万円)を一度で済ませられます。同様に、水回り4点をまとめて発注することで給排水工事の効率が上がり、個別に頼むより10〜20%程度安くなるケースがあります。

一方、「まとめてやれば安い」という業者の言葉を鵜呑みにせず、必ず見積もりを取って確認することが重要です。相見積もりを取ることで、本当にまとめる意味があるかどうかが分かります。

悪質業者への注意

全面リフォームは金額が大きいため、悪質業者によるトラブルも発生しています。特に注意すべき業者の特徴として、以下が挙げられます。

  • 訪問営業で「今すぐ契約しないと損」と急かす
  • 見積もりが極端に安く、工事開始後に追加費用を繰り返し請求してくる
  • 工事内容の説明が曖昧で、書面(契約書・明細付き見積書)を出し渋る
  • 完成後の保証・アフターサポートについての説明がない

訪問販売によるリフォーム契約はクーリングオフ制度(8日以内)が適用されます。また、工事内容や費用についてのトラブルは、公益財団法人住宅リフォーム・紛争処理支援センター(電話:0570-016-100)に相談することができます。

まとめ

全面リフォームは、築20〜30年の住宅を長く快適に住み続けるための有効な手段です。費用相場は築年数・工事内容によって異なりますが、築25〜30年なら700〜1,200万円程度を一つの目安として考えておくとよいでしょう。

失敗しないためのポイントは3つです。

  1. 複数社から相見積もりを取る:1社だけでは相場が分からず、割高なまま契約してしまうリスクがあります。
  2. 補助金・減税制度を事前に調べる:着工前に申請が必要なものが多く、後から申請できない補助金もあります。
  3. 現状診断をしっかり行ってから工事範囲を決める:見えない部分の劣化を確認せずに進めると、工事途中で追加費用が発生するケースがあります。

CLASEOでは、地域の信頼できるリフォーム会社を無料で比較できます。まずは複数社の見積もりを取り、費用・提案内容を比べてから最終判断することをおすすめします。

参考情報:公益財団法人 住宅リフォーム・紛争処理支援センター

参考文献

  • 国土交通省「住宅リフォームの現状と今後の方向」https://www.mlit.go.jp/
  • 公益財団法人住宅リフォーム推進協議会「リフォーム工事の実施状況調査」https://www.j-reform.com/
  • 一般社団法人 住宅リフォーム事業者団体連合会「リフォーム工事施工基準」https://www.j-rta.or.jp/

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この記事の執筆者
CLASEO編集部
知識ゼロで実家のリフォームを業者に発注したら大失敗した経験から、これからリフォームする方には失敗してほしくないと思い執筆している。実際のトラブル事例をもとに、見積もり比較の重要性と業者選びのポイントを発信中。
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